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病気の豆知識

犬フィラリア症(糸状虫症)について

かわいい大切なワンちゃんの生命・健康を脅かす感染症の代表的なもので、平均寿命を 下げている大きな原因の一つです。
ワクチンによる予防は出来ませんが、予防法が確立されているので充分な対応措置を取ることが可能です。


近年では地球温暖化の影響によりフィラリア感染開始日が早くなっておりますので当医院では4月下旬から
5月上旬には予防薬の投与開始をお勧めしています。



フィラリアって何? フィラリア症って何?
フィラリア成虫(オスとメス)

 フィラリア(犬糸状虫)は蚊の媒介により犬の心臓や肺の血管に寄生し、血液中の栄養分を吸って
 生きている そうめん状の長さ 17〜28センチの寄生虫の名前です。

 そのフィラリアの寄生により心臓・肺はもちろんのこと肝臓・腎臓などにさまざまな異常をきたすように
 なります。

 それがワンちゃんにとって大変恐ろしい病気であるフィラリア症です。



フィラリア症の症状と治療

 フィラリアが感染して起こるフィラリア症はそのほとんどが慢性経過をたどりますが、時には重篤になることが多い急性症もあります。

 急性症は大静脈症候群とよばれ、慢性経過の途中でフィラリアが移動するために、突然、赤ワインのような色の尿(血色素尿)と
 呼吸困難・虚脱などの循環不全を主とした激しい症状を示すものです。
 この場合、何もしないと数日の内に死にいたることが多いので、速やかにフィラリア成虫の摘出手術を受ける必要があります。

 慢性症の場合、フィラリアが寄生していることと、分泌物や排泄物により起こる肺高血圧症が主たる原因となり、
 二次的にさまざまな症状を示す心臓病となります。
 心臓の機能が充分でなくなることで全身の臓器がうっ血状態になり、肝臓・腎臓・肺などの重要臓器が機能不全を引き起こすようになります。
 これらの病変は通常治療しても元のようには戻らない不可逆性のことが多く、最終的には死にいたることもあります。

 ゼーゼーした咳をする、運動を嫌がる、痩せてきた、貧血気味になってきた、腹囲が大きくなってきた(腹水)、失神することがある、
 などは上記の病変が進行していることを示しているので、早期の対象療法が必要です。

 フィラリア成虫に対しては、外科手術による摘出と内科的に薬剤で駆除する方法があります。


フィラリアの感染経路とライフサイクル(生活環)

フィラリア(犬糸状虫)に感染している犬の体内にはフィラリア成虫と、
成虫が産出し、血流にのって体中のいたるところに存在している、
子虫(ミクロフィラリア)がいます。



そのミクロフィラリアは蚊が吸血したときに蚊の体内に入り、
約2週間後感染能力のある感染幼虫にまで発育します。



感染幼虫を持った蚊がほかの犬を吸血するとき、
幼虫が皮膚から侵入して感染します。



犬の体に入った幼虫は2〜3ヶ月かけて皮下、筋肉内で成長し、
2センチ程度の体長になります。



その後、血管に侵入して心臓や肺動脈に寄生し、
なおも発育を続けて3〜4ヶ月後、
成虫となり子虫を産出し始めます。




大型犬の心臓模型    小型犬の心臓模型
心臓・肺動脈内のフィラリアの状態(大型犬模型)          &nbsp心臓・肺におけるフィラリアの状態(小型犬模型)




フィラリア症の予防薬(内服)

 現在使用されているフィラリア症予防薬(内服)には、ある期間、毎日または1日隔日で投与していくものと1ヶ月に1回ずつ投与していく
 ものという大きくわけて2種類があります。

 これらは、蚊の吸血によって犬の体内に侵入した感染幼虫が血管内から心臓内に到達する前に、すなわち感染後約2ヶ月までに
 幼虫を殺滅することでフィラリア症を予防しているのです。

 幼虫が血管または心臓に入ってしまうと、これらの予防薬の効果は得られません。



特に現在主流として使われている 1ヶ月に1回ずつ投与していくタイプのフィラリア症予防薬について、
「投与後1ヶ月間効果が持続してフィラリアの感染を防いでいる」 との誤解もあるようですが、
このタイプの予防薬も上記のように、感染幼虫を殺滅することでフィラリア症を予防しているのであって、
フィラリアの感染を防いだり、ましては蚊を寄せつけなくする、といったものではありません。



フィラリア症予防薬(月1回タイプ)投与とその効き方

 現在フィラリア症予防薬の主流として使われている、月1回投与タイプの投与時期とその効き方について、投与モデル表を使ってご説明します。
 (7回投与の場合)


 最近の温暖化傾向により蚊の発生期間の延長があるので、年間投与回数を6回から7回に増加させた場合の投与モデルです


















《 下記の表の説明です 》



:投薬日 A

← @ →

投薬前 約
15〜60日
    

   ← @ → の期間に感染したものは   投薬日 A 一日ですべて殺滅する

▼は投薬した日をあらわし、同色の左記の期間に感染した(蚊の媒介によって犬の体内に入ってしまった)感染幼虫に対して100%の殺滅効果を示します。
逆に言うと、15〜60日前に犬の体内に入った感染幼虫を殺滅できるのが月1回投与するタイプのフィラリア症予防薬ということになります。



4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月












































上記の投与方法で、この期間に感染した
フィラリア幼虫をすべて殺滅させたことになる















上記の投与モデルでは7回の投薬の積み重ねで、
4月中旬〜11月末の間に感染した感染幼虫をすべて殺滅
したことをあらわします。

このタイプの予防剤は「投与後1ヶ月間効果が持続してフィラリアの感染を防いでいる」のではありません。

犬の体内に入ってしまった感染幼虫がいた場合、血管または心臓内に入ってしまう前に残さず殺滅することによって、フィラリア症を予防しているのです。

血管または心臓内に入ってしまった幼虫に対して予防薬の効果は得られません。




フィラリア症の予防薬(注射)

 2001年よりフィラリア症予防注射が使用できるようになりました。
 この予防剤には以下のような特長があります。
  • 生後6ヶ月齢以上のワンちゃんに使用できます。
    (大型犬では8ヶ月齢以上、超大型犬では10ヶ月齢以上)

  • ワンちゃんに1回注射することにより、犬フィラリアの寄生を注射後6ヶ月間予防することができる長期持続性予防剤です。

  • 投与後ゆるやかに長期間放出しつづけ、しかもワンちゃんの体に安全性の高い製剤です。

  • 妊娠中や投与後に妊娠する可能性のあるワンちゃんにも使用できます。

  • 飼主様の投薬し忘れや中断、知らぬ間の吐き戻しなどによる予防漏れの心配がありません。

  • 時期が適切であれば福岡県地域においては年1回の投与でフィラリア症の予防が充分できます。又2回の投与で通年予防が出来ます。

  • 月1回内用薬投与から注射への切替、あるいは月1回内用薬投与と注射薬との組み合わせによる予防も出来ます。

        
  • フィラリア症予防注射の副作用について、平成14年5月に緊急報告がありました。

  • 副作用の内容は以下のようなものです。      
    • アナフェラキシー様ショック        
    • 顔面腫脹        
    • 元気食欲減退        
    • 嘔吐        
    • 注射部位の硬結       
      
  • フィラリア症予防注射をご希望の飼い主様は、上記の点について獣医師から充分に説明を受けてください。        
 下記はフィラリア症予防注射のその効き方について、月1回投与タイプ(6ヶ月間)と比較した投与モデルです。

















《 月一回6ヶ月間投与の場合 》


5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月



































上記の6回の投与方法で、この期間に感染した
フィラリア幼虫をすべて殺滅させたことになる





《 注射薬投与の場合 》


5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月





フィラリア症予防注射が有効の期間

上記時期での投与方法で、この期間に感染した
フィラリア幼虫をすべて殺滅させたことになる




上記モデルは6月中に注射した場合、
4月中〜11月末の間に感染した感染幼虫をすべて殺滅
したことをあらわします。

この時期に注射できない場合は、月1回投与薬との組み合わせ又は年2回注射をお勧めします。





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 愛犬家の皆様方はフィラリア症というのは愛犬にとってとても恐い病気であるという認識が充分あり、
 知識もお持ちになっているのですが、 お話をしていると 時折、誤解されていたり、理解されていないのでは?
 と思われることがあります。 正しい知識を持つことが正しい予防への 近道と思います。
 心配な点、良く解らない点などありましたら、遠慮無く我々獣医師にご質問ください。

 
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